日本生殖医学会東北ブロックの会員の皆さま方、こんにちは。この度、岩手医科大学が第60回東北生殖医学会総会・学術講演会を主催させていただきます。期日は2023年10月29日(日)、盛岡市の岩手教育会館にて開催いたします。今年一月、NY Times誌は“52 Places to Go in 2023”でロンドンに次ぐ第二位の街として盛岡を選出しました。その第一の理由として挙げたのが盛岡城址公園の紅葉の美しさでした。今回の会場はその盛岡城址公園の堀端に面しており、毎年、会場から紅葉に彩られる石垣を見ることができます。世界が認めた最も美しい季節のMORIOKAにぜひ奮ってご参集いただきますよう、お願い申し上げます。
第60回のテーマは「生殖医療は止まらない:新しいエビデンスを築こう」としました。早いもので私が東北生殖医療の現場に触れるようになって5年が経ちました。この5年、生殖医療を取り巻く環境は激動しています。昨春の生殖補助医療の一部保険診療化を嚆矢として不妊症および不育症を対象とした着床前遺伝学的検査についての倫理的体制整備なども進み、不妊症に悩むカップルは保険診療だけでなく先進医療や自費医療を含めて有効な選択肢を手に入れるようになり、個別最適化医療が加速しているように見えます。その一方で、コロナ禍やウクライナ戦禍とそれに伴う金融危機によって生殖医療を支える内分泌製剤の供給不足があり、保険診療移行による事務処理増加と相まって生殖医療現場は未曾有の混乱を来しました。デジタル改革(DX)が加速し社会の在り方も変わっていく中、どのような生殖医療のエビデンスが築かれていくのか、今まさに衆知を集める刻です。生殖医療には多くの研究者、胚培養士、医師、看護師、心理士、福祉士、コーディネーター、行政、事務が参画して不妊カップルを支えます。東北6県それぞれの現場で得た皆さんの知見をぜひ10月の盛岡に持ち寄り、東北発の新たなエビデンスを築いていく機会としてください。
特別講演では奈良医科大学の木村文則教授に昨今、注目を集める子宮内膜環境研究について最新の知見をご教授いただきます。コロナ禍はオンラインでの学会開催を可能としましたが、ウエビナーやオンデマンド型講演の氾濫により深淵な討議が減ったようにも感じます。本会は完全対面式として内容のあるライブ口演と双方向ディスカッションを目指します。会期直前まで知恵を絞っていきますので、突然の指名などの際にも寛容なご理解をいただき、講演会を盛り上げていただきますよう、どうぞ宜しくお願いいたします。
2023年皐月矢巾にて